2011年3月2日水曜日

不当解雇(リストラ)の裁判例

今日は、不当解雇(リストラ)に触れている判例を紹介します(つづき)。 

2 争点
 本件の争点は、更生手続開始前から更生会社に雇用されている労働者が、更生手続開始決定後、更生計画認可決定前に、定年により退職した場合に、当該労働者の退職手当請求権の全額が共益債権となるか(会社更生法130条4項、同法127条)、それとも、退職手当請求権の一部のみが共益債権となるか(同法130条2項)である。
第3 当裁判所の判断
1 株式会社について更生手続開始の決定があった場合において、更生計画認可決定前に退職した当該株式会社の使用人の退職手当の請求権は、退職前6月間の給料の総額に相当する額又はその退職手当の額の3分の1に相当する額のいずれか多い額を共益債権とすると定められている(会社更生法130条2項)が、この規定は、同法127条の規定により共益債権とされる退職手当の請求権については、適用しないこととされている(同法130条4項)。
2 会社更生法127条には、共益債権とされる請求権として、1号から7号までが掲げられているが、そのうち、退職手当請求権が該当する可能性があると解されるのは,同条2号しかない。
 そして、同条2号によれば、「更生手続開始後の更生会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権」は、共益債権とすると定められている。 
 したがって、本件においては、定年退職に伴う退職手当請求権が、同号にいう「更生手続開始後の更生会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権」に当たるか否かが問題となり、これに当たる場合には、定年退職に伴う退職手当請求権は、同法127条の規定により共益債権とされることになるから、同法130条2項は適用されないこととなる。
3 そこで、定年退職に伴う退職手当請求権が、会社更生法127条2号にいう「更生手続開始後の更生会社の事業の経営並びに財産の管理及び処分に関する費用の請求権」に当たるか否かにつき、検討する。
なお、不当解雇(リストラ)について専門家に相談したい方は、不当解雇(リストラ)に強い弁護士に相談してください。また、企業の担当者で、従業員の解雇についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、保険会社との交通事故の示談交渉刑事事件多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題オフィスや店舗の敷金返却(原状回復)などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。