2010年2月15日月曜日

顧問弁護士(法律顧問)への問い合わせが多いテーマ:下請法

顧問弁護士(法律顧問)としてよく受ける問い合わせをまとめていきます。


今回は下請法の概要についてです。

1. 下請法とは?

下請法の正式名称は、「下請代金支払遅延等防止法」といいます。下請取引において、親事業者の下請事業者に対する取引を公正なものとし、下請事業者の利益を保護し、もって国民経済の健全な発達に寄与することを目的としています(1条)。独占禁止法において、一般的に優越的地位の濫用が規制されていますが、特に下請取引における親事業者の優越的地位の濫用を規制するものとして、独占禁止法の補助立法として制定されたものとされています。

親事業者は、典型的には、資本金や出資額が3億円を超える法人です。規制の対象となる下請取引は、親事業者の下請事業者に対する製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託(建設工事を除く)です。なお、建設業の下請取引については、建設業法第42条、第42条の2により国土交通大臣・中小企業庁長官等が公取委に独禁法による適当な措置をとることを求めることができることとなっています。

2. 具体的な規制の内容

(1) 下請代金の支払期日(同法第2条の2)
下請代金の支払期日は、親事業者が下請事業者の給付を受領した日から60日以内で、できる限り短い期間内において定めておくことを要します。

(2) 書面の交付等(同法第3条)
親事業者は、下請事業者に製造委託等をした場合には、直ちに、給付の内容、下請代金、支払期日、支払方法等を記載した書面を下請事業者に交付しなければなりません。

(3) 親事業者の遵守事項(同法第4条)
親事業者は、下請事業者に次の行為をしてはなりません。

①受領拒否
下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒むこと。
②代金の支払遅延
下請代金をその支払期日後も支払わないこと。
③代金の減額
下請事業者の側に責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずること。
④返品
理由のない、給付した物の引き取らせ。
⑤買いたたき
通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金を不当に定めること。
⑥強制購入、強制利用
正当な理由なく、自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させること。
⑦報復
下請事業者が公正取引委員会又は中小企業庁に対し上記事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすること。
⑧原材料等を自己から購入された場合における、早期決済等。
⑨一般の金融機関による割引が困難な手形の交付。
⑩自己のために経済上の利益を提供させる。
⑪理由のない、下請事業者の給付の内容の変更、給付のやり直し。

3. 勧告、報告、立入検査、罰則

(1) 公正取引委員会の勧告(同法第7条)
公取委は、親事業者において遵守事項の違反があったときは、下請代金の支払等につき必要な措置を勧告することができます。

(2) 公正取引委員会への報告、立入検査(同法第9条)
公取委や中小企業庁は、親事業者や下請事業者に下請取引の報告をさせ、又は、事業所に立ち入り、帳簿・物件を検査することができます。

(3) 罰則
書面の交付義務違反、報告義務違反、検査妨害等については、50万円以下の罰金。


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