2009年4月22日水曜日

残業代請求

今回は、残業代請求に関する判例を紹介します(つづき)。 

9 付添料の返還命令及びカットについて
(一)原告
 原告ら付添婦は、担当患者が死亡した場合、被告から二日分の付添料を患者の親族に返還することを命令・強要されていた。
(二)被告
 右付添料の返還についても、患者の遺族に対するお悔やみ料的な感覚で返還を習慣にしているに過ぎず、被告の命令によるものではない。原告は、被告が看護上の不備を理由として、右カットをした旨主張するようであるが、もし、看護上の不備で死なせたのであれば、その程度の額では済まされないはずである。
10 お参りの命令及び付添料カットについて
(一)原告
 被告は、患者を死なせた階の看護婦と付添婦を一階の事務所まで呼びつけた上、神社へ行ってお参りし御札を買ってくるように指示・命令していた。しかも、原告ら付添婦は、その時間分及び二日分の給料をカットされていた。
(二)被告の主張
 右事実は、いずれも否認する。
11 付添料の支払方法について
(一)原告
 原告ら付添婦は、平成五年三月までは小松原から、その後は被告病院事務長山口一郎(以下「山口事務長」という)から毎月の付添料の支払を受けていたし、その際、付添料の入った封筒には、以前被告が経営していた結婚式場「豊生殿」や料亭「魚善」の名が記載されていた。また、被告病院の経理担当者木之下恭子が付添婦の手数料についてもチェックしていた。さらに、原告が被告病院から就労を拒否された平成五年一二月七日以降、山口事務長から三度にわたり未払付添料を取りにくるようにとの要請があった。右は、いずれも被告が原告を雇用していた証左である。
(二)被告
 付添料の支払手続は、毎月初めころ、三国紹介所の職員が各病院へ赴き、原告ら付添婦に代行して各患者から付添費を徴収し、同紹介所が原告ら付添婦に代わって仮預証を患者又はその家族に渡した上、毎月一五日ころに三国紹介所の職員が各病院へ赴き前記各患者から集金した付添料のうちから、所定の手数料を差し引いた残額を付添料として直接原告らに支払う(各付添婦は、患者宛の領収書を作成し、紹介所を介して患者又はその家族に交付する)ということになっている。その際、小松原等が事実上、三国紹介所の事務を手伝ったことはあるが、あくまで三国紹介所の事務の代行に過ぎず、被告が原告に対し付添料を支払ったものではない。また、使用した封筒についても、三国紹介所の要請に基づき廃品の有効利用の観点からそうしたまでのことである。山口事務長からの催促についても、被告自身が原告に対して付添料を支払うとの趣旨でしたものではない。
12 被告病院の入院案内の記載について
(一)原告
 被告病院の一般入院案内の冊子中には「付添にお困りの方は当病院で付添看護させて頂きます」との記載があり(書証略)、また、老人用の入院案内の冊子中には「入院を希望される患者さんで家族等の付添が出来なくて困っておられる方達の為に当院は無料で責任をもって看護致しております」(書証略)との記載があるが、右は、被告が付添婦を雇用するとの認識を有していた証左である。
(二)被告
 前者は、被告病院で責任をもって付添する者を見つけた上、あっせんする旨を老人にも理解しやすいように表現したにとどまり、法律的な意味で、被告病院と雇用契約関係にある看護補助者を付添わせるという意味ではない。後者の「無料で」看護するというのも、要付添患者が付添婦に対し支払った付添看護料については、後日患者が請求すれば還付を受けることができる旨を簡略に記載したにとどまり、付添看護の対価として患者が付添婦に対して支払うべき付添料が零であることを意味しない。
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